名刺入力など単純作業は、個人として働くフリーランスに外注することが可能です。
ランサーズなど大手クラウドソーシングサイトを活用すれば、予算の範囲内で外注することもできるでしょう。
今回は、ランサーズで名刺入力を外注するときのポイントについて紹介します。
メリット・デメリットや注意点にも触れますので、併せて目を通していきましょう。
ランサーズとは、ランサーズ株式会社が提供するクラウドソーシングサイトです。
クラウドソーシングサイトとは、別名「フリーランスプラットフォーム」と呼ばれることもあり、企業・個人問わず業務をソーシング(業務委託)できるサイトのことを指します。
つまり、仕事を依頼したいクライアントと、仕事を受注したいワーカー側とをつなぐサイトであると理解するのがよいでしょう。
特に、コストを削減しながら業務を外注したい企業や、自社にない専門知識やノウハウを求める企業が多数活用しています。
ここでは、名刺入力に的を絞り、ランサーズで外注するメリットを探っていきましょう。
自社にとって高いメリットがあるか、照らし合わせていくことが大切です。
まず、内部コストを抑えやすいというメリットが生じます。
内部コストとは、自社内のコストとして発生する費用のことを指します。
例えば、完全に自社のみで名刺入力をおこなう場合、名刺入力をする事務員の給料が発生します。
本来であれば別の業務に充てられるはずだった事務員のパフォーマンスが、大きく割かれてしまうでしょう。
その分、本当に依頼したかった業務が滞ったり、チーム全体の動きに影響が出てきたりする可能性があります。
誰にどれくらいの負担をかけて依頼するのか、事前に計算しておくことが欠かせません。
また、短期アルバイトを雇って名刺入力を任せる場合、採用費用がかかります。
求人サイトや求人広告への掲載料がかかったり、面接担当者を確保するコストがかかったりするでしょう。
もちろん、採用したあとの時給も発生します。
ランサーズで名刺入力を外注できれば、上記のような内部コストは大幅に削減できるでしょう。
賢く社内の力を借りながら名刺入力を進めたい場合に、おすすめの手法です。
内部コストと同様に、外部コストも削減可能です。
外部コストとは、外部サービスを利用する際にかかる費用のことを指します。
名刺入力代行サービスは複数あるものの、ランサーズは委託コスト面の自由が効きやすいことが特徴です。
自社で価格を設定したうえで、その価格に納得するワーカーから立候補を募る形式であるため、相場より安めの額でも高めの額でも、自由に設定可能です。
上手くワーカーを募れれば、企業が運営している名刺入力代行サービスよりも安く抑えることができるでしょう。
まずは委託の相場を知ると共に、自社内の予算を明確にしておくことが大切です。
反対に、ランサーズで名刺入力を外注するデメリットについても紹介します。
メリットだけでなくデメリットも知り、「こんなはずではなかった…」と後悔することのないよう、対策していきましょう。
ランサーズで働く多くのワーカーは、個人で仕事を請け負うフリーランスです。
企業単位で仕事を請け負うケースはほとんど存在せず、個人の業務スキルによってクオリティが大きく左右されてしまいます。
例えば、下記のようなミス・トラブルが生じる可能性があるため、注意しておきましょう。
・誤字・脱字
・入力項目の抜け・漏れ
・納期遅延
・途中での契約放棄
・音信不通
・契約金額など条件面でのミスコミュニケーション
業務委託契約書の締結などがおこなわれないシステムであるため、最悪の場合リストが納品されないままになってしまう恐れもあります。
期待していたようなクオリティが100%担保されるとは限らないと承知したうえで、依頼していく必要がありそうです。
ワーカーによるクオリティ差が生じるということは、その分ダブルチェックの手間がかかります。
・誤字・脱字がないか
・入力項目の抜け・漏れがないか
・項目ごとのズレがないか
・依頼した枚数分しっかり入力されているか
1つずつ確実にチェックしないと、誤った名刺情報のまま活用してしまいかねません。
想定していた先方担当者とは違う相手に電話がつながってしまったり、送ったダイレクトメールが宛先不明で差し戻しされてしまったり、大きなロスにつながる可能性が生じます。
最悪の場合、取引先からの信用を失う可能性もあるため、特に注意しておきましょう。
ランサーズにおける名刺入力の外注には、名刺の消失や情報漏洩のリスクがある点に十分な注意が必要です。
例えば、下記のようなトラブルが想定されます。
・破いた折ったなどの「破損」
・飲み物をこぼしたり同居の子どもに落書きされたりする「汚損」
・自宅への空き巣や外出先への置き忘れに伴う「盗難」
・返却時の梱包ミスやカバンの防水不足による「水没」
・自身や同居家族による過失での「破棄」
・火事や災害による「消失」
名刺そのものを紛失されてしまう(読めなくされてしまう)ことによる被害は甚大であり、二度と手元に戻ってこなくなる可能性を孕んでいます。
また、下記のように悪用される可能性も、ゼロではありません。
・データ化した顧客リストの転売
・あえてミスだらけの納品をすることによる業務妨害
・同業他社や名刺掲載先企業への情報リーク
当然ながら全て犯罪行為ではありますが、実際に罪に問うには相当の労力を要します。
万が一のトラブルも視野に入れながら、依頼していく必要があるでしょう。
ワーカーに名刺を郵送する場合、原則として郵送にかかる費用が自社が負担します。
そのため、あらかじめ郵送コストは正しく計算しておく必要があります。
当然ながら、依頼する名刺の量が多くなればなるほど、荷物の重さや段ボールサイズも増大します。その分コストは高くなっていくでしょう。
また、ワーカーが自社から遠い僻地に住んでいる場合や、海外在住である場合、郵送コストはより大きくなります。
なるべく近くに住んでいるワーカーを選定するなど、対策が求められそうです。
返送する場合は着払いで送ってもらう必要があり、着払い伝票の準備が欠かせない点にも注意が必要です。
破損や汚損のリスクを防ぐため、名刺の現物ではなく、スキャンした名刺データを渡して依頼する方法も可能です。
その場合、スキャンしてデータ化するまでの工程は、自社内でおこなう必要があります。
手元に数百から数千枚の名刺がある場合は、スキャナのガラス面に1枚つずつ並べて読み取るだけでも、相当な時間がかかるでしょう。
また、名刺読み取り専用のスキャナを購入するなど、思わぬコストにつながる場合もあります。
現物を郵送するかスキャンデータにして送るか、どちらにもメリット・デメリットがあるため、自社に合った方法を模索していく必要がありそうです。
ランサーズを始めとするクラウドソーシングサイトは、あくまでも仕事を外注したいクライアントと、仕事を受注したいワーカーをつなげる役割のみを果たす場です。
フリーランスエージェントのように、案件受発注の流れや業務委託契約締結のサポートまでは手掛けていないため、あらかじめ承知しておきましょう。
また、万が一トラブルが生じた際にも、当人同士による話し合いでの解決を求めることが一般的です。
専任の担当者が間に立ってコミュニケーションを仲介したり、法律に則って損害賠償請求やトラブル解決をしたりする制度はありません。
案件の公募から検収完了まで全て自社で管理する必要があり、自社内で専任の担当者を設置するのが望ましいでしょう。
最後に、ランサーズで名刺入力を外注するときのポイントを紹介します。
ポイントを抑えて発注し、トラブルなく完了できるよう対策しておきましょう。
ワーカーとして十分な信頼と実績があるか、事前に確認してから発注することをおすすめします。
例えば、ワーカーのプロフィール欄には下記のような項目が掲載されているため、参考にしていくのがよいでしょう。
・ランサーズに登録した日付
・過去に受注した案件数
・過去のクライアントからの評価
・サマリーとなるプロフィール
・得意な仕事内容・職種
・保有スキル・資格
・ポートフォリオ・経歴
・過去に獲得したランキング
名刺入力であれば、WordやExcelなどoffice系ソフトの扱いに長けていることや、過去ビジネス向け案件を多く受注していることを優先するのがおすすめです。
また、認定ランサーマークのついた、優れた実績があるワーカーに依頼するのもよいでしょう。
安すぎる料金を提示すると、初心者やビジネス系案件に強くないワーカーからの応募を誘因してしまう可能性があります。
反対に、それなりのスキルがある人材からの応募は少なくなり、想定していたようなワーカーが集まらなくなってしまうでしょう。
最低でも時給換算500~800円程度になるよう計算し、依頼していくことがポイントです。
更にミスなく入力するスキルや納期の早さを重視したいのであれば、時給換算1,000~2,000程度は提示しておくことをおすすめします。
「安かろう悪かろう」にならないよう、コストだけでなくクオリティも重視できるような料金設定にすることがポイントです。
万が一のトラブルやダブルチェックのボリュームに合わせ、急ぎでない名刺入力外注のみ依頼することもポイントです。
納期に余裕があれば、自社でチェックする側の人員にも、実際に名刺入力をおこなうワーカー側にも、ゆとりを与えることができるでしょう。
反対に、納期が近い仕事を依頼してしまった場合、名刺データを使いたいときにリストが完成していないなど、本来期待していた効果が得られない可能性が出てきます。
急ぎで仕事をして、ミスや抜け・漏れが多くなることも考えられるでしょう。
最終的に何をゴールであるかを見失わず、コストパフォーマンスのバランスを重視しておくことをおすすめします。
一気に数百から数千枚まとめて依頼せず、数十枚程度の小ロットで依頼するのもよいでしょう。
複数のワーカーに依頼して様子見をしたり、クオリティに優れたワーカーがいれば単価を上げて継続の交渉をしたり、さまざまな使い方ができます。
ただし、継続してほしいと思ったワーカーが必ずしも応えてくれるとは限りません。
スケジュールの都合によっては断られてしまう可能性もあり、その場合はまた1からワーカーを探し直す必要があるでしょう。
あらかじめ継続の可能性があることを伝えるなど、ミスコミュニケーションのないやり取りを意識することが大切です。
ランサーズに名刺入力を外注する際は、自社におけるダブルチェックは不可欠であると認識しておきましょう。
そのため、事前にダブルチェックを担う担当者を指名しておくことが大切です。
あらかじめ依頼や納品までのスケジュールを共有し、いつからダブルチェックに着手するべきか、相談しておくことも大切です。
突然大量のダブルチェックを依頼してしまうと、本来やるべき業務に支障が出る可能性があるため、特に配慮しておきましょう。
また、可能であれば同じ人員にワーカーとの連絡役を担ってもらうなど、一元管理することで情報共有もスムーズにできます。
ランサーズは、コストを安く業務の外注をしたり、自社にはないノウハウを授けてもらったりする際に便利なプラットフォームです。
依頼するワーカーを選んだり、自社予算に合わせて金額を設定したり、自由度が高いことも魅力だと言えるでしょう。
しかし、十分なクオリティが担保されそうか、万が一トラブルや納期遅延があっても問題ないか、シミュレーションしておくことが不可欠です。
情報漏洩などのリスクにも十分配慮しながら、名刺外注の意義・目的を伝え、ミスコミュニケーションのないやり取りを意識していきましょう。
クオリティとコストのバランスを両立させたいのであれば、企業がおこなっている名刺入力外注サービスを使うことをおすすめします。
納期についてもある程度柔軟に対応してくれるところが多いため、まずは相談してみるのがよいでしょう。