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書籍のスキャンを委託する「自炊代行」は違法に当たらないの?

スキャニングサービスについて調べていると、「自炊代行」という単語に触れる機会があります。非常に利便性が高いためスキャニングのメリットを感じられる一方、場合によっては違法に当たる可能性があるということをご存知でしょうか。

今回は、自炊代行に関する違法性について、解説します。

個人での依頼ではなく会社単位での依頼をする場合は特に注意が必要となるため、事前に情報収集しておきましょう。

 

自炊代行とは

スキャニングにおける「自炊」とは、書籍の内容を全てデータ化し、活用する手段および手法のことを指します。自炊代行と言う場合は、書籍のデータ化を代行してくれるサービスだと捉えるのがよいでしょう。

 

具体的には、本を断裁してデータ化することが多いです。

 

本の表紙や背表紙を特殊なカッターで断裁し、1枚ずつバラバラの紙の状態にします。専用のスキャナーで読み取ることで書籍のように大量のページ数があるものでもデータ化できるため、その後PDFやkindleなどのリーダーに送れば出先でも手軽に本が読めるようになるのです。

 

自炊代行は違法に当たる可能性が高い

自炊代行は一見すると非常に便利なサービスですが、その一方で違法に当たる可能性があるということを理解しておきましょう。

ここでは、自炊の違法性に関するポイントを紹介します。

 

1.過去、違法とみなされた判例がある

2011年の裁判で、実際に自炊代行が違法であるという判決がくだされた裁判がありました。小説家である浅田次郎さんや東野圭吾さんがスキャン代行サービスを相手取って起訴した裁判であり、賠償金70万円の支払いが命じられています。

また、当該スキャン代行サービスへの複製差し止めも命じられています。

 

この判例は、自炊代行の違法性を理解するには十分だと言えるでしょう。

実際に自炊代行を依頼した側ではなく、自炊代行を決行した側への訴訟だったとはいえ、このようなサービスを利用することに対するリスクはどうしても上がります。

 

2.違法に当たる理由は、著作権にある

自炊代行が違法に当たる理由は、著作権侵害をしていると認められたからです。

 

著作権法30条1項では、「個人的にまたは家庭内その他これらの準ずる限られた範囲内において使用することを目的をする」場合、もしくは「その使用する者が複製する」場合に限り、著作物の複製が認められています。

つまり、個人的に書籍の一部をコピーして書き込みをおこなったり切り取ってアイディア出しに使ったりする分には、全く違法性はないと言えるでしょう。

 

しかし、自炊代行の場合「その使用する者が複製する」という部分に抵触します。

使う本人以外の人(この場合はスキャン代行サービスの社員)が複製に着手するため、使用する者以外が複製するとしてみなされるのです。

また、自炊代行を依頼する会社は自社従業員間で読み回すために利用している背景が強く、「個人的にまたは家庭内その他これらの準ずる限られた範囲内において使用する」という部分にも抵触してしまいます。

ただコピーするのではなくスキャニングしてデータ化しているため、ファイルの共有も簡単であり、個人的な複製としては認められないということでしょう。

 

自炊をはじめとする著作物複製の際には、著作権に十分配慮する必要があると分かります。

 

3.公衆送信権侵害に当たることもある

自炊代行が問題視されるのは、著作権侵害によるものだけではありません。公衆送信権侵害に当たる可能性もあるとして、更に重い懲罰が加わることもあるのです。

 

公衆送信権とは、インターネット上で著作物を公衆向けに送信する権利であり、有線・無線を問わずさまざまな送信形態が適用されます。

これは著作者本人に認められた権利であり、自炊代行のように著作者を挟むことなくクライアントに書籍内容をデータ化して送信する取り組みは、違法だとみなされるようになりました。

 

一方、事前に著作者から許可を得ていた場合は、この限りではありません。

電子書籍の販売サービス・日ごとに閲覧できる漫画配信アプリ・サブスクリプションでの音楽聞き放題サービスなどは、全て事前に著作者の許可を得ています。そのため、不特定多数の公衆向けに著作物を配信するサービスでありながら、公衆送信権侵害には当たらないとされているのです。

 

厳密に言えば自炊代行も著作者本人からの許可を得ておこなっていけば問題ありませんが、現実問題そこまで徹底することは難しく、また個別での申請・許可のフローも整っていないと言えるでしょう。

 

4.自分で自分のために自炊することは違法でない

上記をまとめると、自炊代行サービスを利用して書籍をデータ化することは、違法だと分かります。

 

一方で、自分で自分のために書籍のデータ化をすることは、違法ではありません。

 

どうしてもお気に入りの本をデータ化したい場合や、絶版になっていて再入手できない本を水濡れ・紛失・消失・盗難から守るためにデータ化するのであれば、問題ないのです。その場合は自分で1からデータ化し、誰の手に渡らせるでもなく、自分だけの範囲で楽しむ必要があります。

 

つまり、自炊が違法なのではなく、自炊代行が違法だと言えるでしょう。

あらかじめ自炊代行に関する知識を仕入れ、業者選定の際には注意しておくことが大切です。

 

5.「自炊支援」も違法でない

自分で自炊するのが違法でないのと同様、「自炊支援」も違法ではありません。

 

例えば、自炊に使用してもらう業務用スキャナーのレンタル・販売は、違法ではないのです。

 

大規模なビジネスセンターなどには本の断裁機や大型のスキャナーが用意されていることが多いですが、これらの設備を使い、自分で自炊する分には双方問題ありません。あくまでも「自炊代行」ではなく「自炊支援」としてみなされるため、このようなビジネスモデルを採用している業者も複数存在します。

 

ただし、ビジネスセンターに常駐しているスタッフの手を借りて自炊すると、違法になるため注意しましょう。

細かな規程があって面倒に感じるシーンもあるかと思いますが、著作者や作品を守るために必要なこととして、把握しておくことが大切です。

 

6.著作物として認められるのは書籍だけではない

「自炊代行=書籍のデータ化」だというイメージが先行しますが、著作物として認められているものは書籍だけとは限りません。下記のようなものをスキャニング代行に出す場合も、十分注意しておきましょう。

・小説などの文芸作品
・ビジネス書
・教科書・参考書・問題集
・論文
・雑誌
・辞書
・地図帳
・写真集
・楽譜
・漫画 など

会社単位で自炊代行を利用する場合、ビジネス書・論文などの依頼が多くなるでしょう。また、クリエイティブ業界では雑誌・写真集・楽譜・漫画などの依頼もありそうです。これらは基本的に自炊代行に出さないものとして捉え、スキャニング対象から外しておくことが賢明です。

 

自炊代行のデメリットは他にもある

自炊代行のデメリットは、違法性に問われる可能性があること以外にも複数存在します。ここではデメリットをひとつずつチェックし、対処していきましょう。

 

本が断裁されてしまう

自炊代行は、本の表紙や裏表紙を断裁し、バラバラの紙にしてから専用スキャナーで読み取ります。そのため、本としての形を崩してしまい、元の状態には二度と戻ることがありません。

なかには再製本してくれる業者もありますが、完璧に元の状態に戻すことはできません。本ならではの風合いや雰囲気を大切にしたい場合は、面倒でも自分で1ページずつスキャニングするべきです。

 

著作権のない、製本された社内マニュアルなどをスキャニングしてもらう場合も、断裁の有無は事前に聞いておくのがよいでしょう。

非破壊スキャナーを使ったスキャニングをしてくれる場合もありますが、コストが高くなるため要注意です。

 

本の痛みがそのままデータに出てしまう

古い本・破れや水濡れがある本・日焼けや黄ばみがある本の場合、痛みがそのままデータに出てしまう可能性があります。業務用スキャナーであるため非常に精度は高く、dpiを上げれば明瞭な読み取りも可能ですが、最初から電子書籍として購入したときのように綺麗な見た目になるとは限りません。

 

「思っていた以上に読みづらい」「汚れがそのまま付着してしまっていて不快」という感想を持つ人も多いため、依頼する場合でも事前にサンプルを見せてもらうことをおすすめします。

 

また、スキャンを担当する人のスキルや年数に左右されやすい部分でもあるため、事前の業者選定が難しくなる可能性もありそうです。

 

完成までに時間がかかる

何ページの本を何冊依頼するかにもよりますが、基本的に自炊代行は時間がかかります。通常のスキャニングのように1週間以内に仕上げてくれるケースはほとんどなく、場合によっては納品までに数ヶ月かかることもあるため注意しましょう。

 

その間、当然ながら依頼した書籍を見ることはできません。いざ必要なときに手元似ない可能性も含め、自炊完了までにどれくらいなら時間をかけられるか、事前にスケジュールを明確にしておく必要があります。

 

場合によっては自分で自炊した方が早いこともあり、違法性の観点からも無理に自炊代行を使わないことがポイントとなりそうです。

 

業者によっては知識が乏しい場合がある

自炊代行業者の全てが、自炊代行の違法性に詳しいわけではありません。なかには違法であることを知らずに請け負い、不要なリスクを背負ってしおまっていることもあるでしょう。依頼側も自炊代行の違法性に詳しくない場合、お互いが「何も知らなかった」という状態で契約が成立してしまい、気づいたときにはトラブルや訴訟に発展してしまうことも想像できます。

 

そのため、代行業者だけに頼らず、自社でもスキャニングに関するリテラシーは持っておくことが肝心です。

 

万が一営業されてもきっぱり断り、なるべく自社を危険に晒さないよう、リスクマネジメントしていきましょう。

 

どうしても自炊したい場合の方法3選

自炊代行が違法であると分かっても、どうしてもデータ化したい書籍はあるものです。ここでは、自炊したい場合の方法を紹介します。

 

1.自分で断裁機や大型のスキャナーを買って自炊する

自分で断裁機や大型のスキャナーを購入し、自炊する方法です。初期コストと十分なスペースが必要ですが、今後も継続して大量に自炊する場合は、検討してもよいでしょう。

 

いつでも好きな書籍を自炊できるため、本好きな人にとっては大きなメリットとなります。

 

また、手元にある絶版書籍や電子販売していない書籍をデータ化するうえでも、非常に便利です。

 

2.断裁機や大型のスキャナーがある場所を利用して自炊する

断裁機や大型スキャナーがある場所を利用し、自炊する方法です。大規模なビジネスセンターやコピー機などを24時間開放しているサービスを使い、自炊するのがよいでしょう。

 

大がかりな設備を自分で保有する必要がないため、初期コストもスペースも不要なことがメリットです。一方、1ページ10円~が相場であるため、丸々一冊スキャンしようとするとかなりのコストがかかります。

 

本当に必要な数ページ・数冊だけ自炊する場合の利用メリットは高いですが、大量に自炊したい場合にはコストとのバランスをよく計算しておく必要がありそうです。

 

3.自炊アプリを利用する

自炊アプリを利用し、簡易的にデータ化する方法もあります。スマホで1ページずつ写真撮影するような形であるため知識がない人でも使いやすく、手軽に自炊できます。

 

ただし、やはりそれなりの時間がかかる点は覚悟しておきましょう。例え本を断裁したとしても、1ページずつ読み取る手間は変わりません。自炊アプリそのものの数もまだ少ないため、参考のひとつとして認識しておくことをおすすめします。

 

まとめ

著作物の自炊代行は、基本的に違法に当たると認識しておきましょう。スキャン.comでも、著作物のコピー・スキャン・データ化は承ることができません。

 

どうしても自炊したい場合は、自力でおこなうことがポイントです。

ビジネスセンターなどを利用して自炊し、自分だけの範囲で活用していけば、むしろデータ化のメリットを実感できそうですね。