個人や企業で、スキャン代行を依頼するパターンは少なくありません。
- スペースが狭くなって紙の書籍を置きにくくなった
- ペーパーレスにしてすっきり書籍を管理したい
といったように、理由はさまざまです。
ただし書籍をスキャン代行してもらう際は、法律的に気を付けておかないといけない点があります。
今回は書籍のスキャン代行時に、注意しておかないといけないポイントを法律面を中心に解説していきます。
目次
著作者に許可なしのサービス提供は違法!スキャン代行の罠とは
手持ちの書籍をデジタル化してペーパーレスな状態を作り出すのを、「自炊」と呼びます。
プライベートでの自炊行為自体は違法ではありません。所有している書籍を単にデジタル化して、自分で利用するだけだからです。ただしここに金銭や著作権などの概念が入ってくると話が変わってきます。
たとえば自炊した書籍をアップロードして販売する行為は、当然禁止です。
- 個人的にまたは限られた範囲内で使用するのが目的
- 利用者が直接複製する
といった条件をクリアしていれば問題ないですが、アップロードしている時点で限られた範囲を逸脱しています。
また自炊をスキャン代行業者が提供すると、私的利用には該当せず金銭も発生することになります。著作権も侵害しているので法律違反となり、最悪の場合裁判になるリスクまであるのです。
実際に某有名作家が、あるスキャン代行業者を相手取って裁判を行い、違法性が認められたケースもあります。このように自炊のスキャン代行はグレーな部分もあるので、利用する際は注意する必要があります。
スキャン代行が違法にならないよう、気を付けるべきポイントとは
もし書籍のスキャン代行を依頼したいときは、次の点に注意してみてください。
該当の作家から許諾を得ている事業者か
もし書籍をスキャンして提供しても、該当書籍の著作者から許諾を得ていれば問題はありません。ただし
- 特定が難しい場合もある
- 許諾にコストが掛かる
といった点で許諾を得ている事業者のほうが少ないかもしれません。
いちおう依頼前に許諾を得ているかチェックしてみると安心はできるでしょう。
スキャナーの貸し出しを行っているか
違法になってしまわないように、工夫している業者も存在します。
たとえば「裁断は代行するが、スキャナーは貸出式にして依頼者へスキャンしてもらう」という業者です。こういった業者は複製行為自体は行っていないので違法にはなりません。依頼者側では手間の掛かるスキャナー導入を行う必要がなく、また導入コストも削減できます。
もし書籍の電子化を丸ごと代行するのが怖い場合は、スキャナーの裁断代行やレンタルを提供している事業者を見つけてみてください。
そもそも書籍を紙でそろえる必要があるのか
現在は電子書籍が一般化しており、紙の書籍売上は下がりつつあります。既存の書籍はどうにかして電子化する必要があるかもしれませんが、今後無理に紙で書籍をそろえる必要があるのかというと微妙です。
スキャンの手間を減らしたい方は、最初から電子書籍サービスで書籍をそろえられる体制を整えておくと今後手間が減るでしょう。
まとめ
今回は書籍のスキャン代行時に、注意しておかないといけないポイントを法律面を中心に解説してきました。
著作者に無断の複製サービス提供は禁止されています。事前にスキャン代行が信頼できる先かどうか確認してみましょう。またスキャン代行依頼が怖い場合は、スキャナーレンタル利用なども検討してみてください。