自由市場下では、大抵の商品の価格は主に需要と供給の関係から決定されることになります。しかしこれまで航空運賃は、各航空会社がその原価から一方的に決めていて、利用者はその料金を受け入れるより他ありませんでした。
しかし1998年に国内定期航空事業へ35年ぶりに2つの航空会社が新規参入して以降、売り手市場であった航空業界に、価格競争が始まりました。
今回この記事では航空業界を例に、マーケティングでよく用いられるPSM分析を使った適正価格の求め方を見ていきます。
適正価格とは?
そもそも、適正価格とは一体なんでしょうか?何か商品を買ったり、サービスを受けようとする場合は、それに対して対価を支払わなければなりません。その時、価格が高すぎると買うのをやめてしまったり、他の業者や販売店に変更してしまうでしょう。逆に安すぎてしまうと、必要な利益が確保できなくなってしまったり、商品の信頼性を損ねてしまう可能性があります。
このように、商品やサービスの価格を決める場合には、販売者目線と消費者目線の両方から見て、バランスのとれた価格にする必要があります。このバランスのとれた価格のことを適正価格と言います。
PSM分析とは?
PSM分析とは、Price Sensitivity Measurement(価格感度測定)の略です。価格を決めるときの一つの手法であり、商品やサービスの適正価格を見つける上での分析手段になります。アンケートなどを行い、その結果をもとに分析します。
適正価格をもとめる方法である、PSM分析ですが重要となる4つの質問があります。その質問とは
『その商品はいくらぐらいから「高い」と思いますか?』
『その商品はいくらぐらいから「安い」と思いますか?』
『その商品はいくらぐらいから「高すぎて買えない」と思いますか?』
『その商品はいくらぐらいから「安すぎて品質を疑う」と思いますか?』
です。
この4つの質問の結果を元に
「購買可能曲線」「最低価格曲線」「妥当価格曲線」「最高価格曲線」の4曲線を導き出し、それを元に適正価格を探っていきます。PSMは価格に対する心理的な評価を分析するものであり、「支払う」「支払わない」に加えて、その値段が「高い」と感じるか「安い」と感じるかを詳細に分析できるところが特長となります。
上記の図は4つの質問の結果分けられるグループ分けとなります。
上記の図は横軸に価格を取った場合の4つのグループの分布図です。
この図から適正価格は少なくとも③と④の間であることがわかります。
次に考えるべきは③〜④間のどの層をメインにアプローチするかです。
左側にいくほど「値段」で勝負するディスカウント市場、右に行くほど「機内飲食サービス」「簡単で対応の速い予約システム」「運行便数の多さ」などの付加価値で勝負するプレミアム市場を相手にすることとなります。
高すぎる値段設定だとディスカウント市場を捨てることになってしまうし、逆に安すぎることも客離れを招いてしまうものなのです。行き過ぎた運賃の低さは安全対策のコストまで削減していることを連想させる為です。
上記のグラフから多くの人が値頃感を感じる価格帯を導き出すと、①と②の交点から①の左端であることが図示されていることになります。
最後に
いかがでしたでしょうか。たった4つの質問から多くのことがわかるPSM分析についてお分かりになりましたでしょうか。
この応用として、アンケート回答者を属性ごとに分けてPSM分析を当てはめたりするとさらに詳細な値段設定が行えるようになります。
是非値段設定を決めるためのアンケートなどでご活用ください。