大変な事実が明らかになりました。
パーソル総合研究所が日本を含むアジア太平洋地域の14カ国に対して行った調査をもとにいくつかのトピックについて各国の比較分析を行ったところ、「会社全体」「職場の人間関係」「直属の上司」「仕事内容」の全てで満足度最下位だったそうです。
この調査ではさらに「転職意向」も最下位だったと言うことで、つまり、
『日本人は会社を憎みつつもそこに毎日真面目に通い続けている』
と言うことが読み取れるわけです。
なるほど確かに給料は上がらず、サービス残業は常態化し、お客様は神様としての権能を振りかざします。暗い気持ちにもなろうというものです。
ん?
あれ?
でもアジア14カ国で調査を行ったわけでその他の国と比べて、特別に日本の労働環境が劣悪というわけではありません。曲がりなりにも先進国なのでそれなりの水準ではあります。ではなぜこのアンケートの結果はこのようになったのでしょうか?
アンケートと不誠実な回答者
ところで今回紹介したいアンケート調査における注意点は、
「質問に回答する際に掛かる社会的、文化的なバイアス」です。
なんだかとっても難しそうですよね。でもそんなに難しいことではありません。これから二つの例をご紹介します。読み終わる頃には「ああ、そういうことね」と得心がいってもらえるかと思います。
評判サイトの星の数
みなさん食べログなどはご利用なされてますでしょうか。アマゾンでもいいです。紹介サイトなどでは星の数で評価する形式がよく見られますよね。
結構言われていることなのですが、日本語の評判サイトでは『星5つが少ない』のだそうです。
「え? 『お/も/て/な/し』の国なのにサービスのクオリティが低いってこと!!?」
ってびっくりしちゃいますよね。でもこの話にはちゃんとウラがありまして、
星採点の使い方が諸外国だと星5が普通で、3だと‘理由がなければわざわざ使うほどでもない’って感覚なんですね。
日本だと3〜4が普通で、5は『めっちゃよかったよ!』って感じですよね。
交際相手の数に関するアンケート
これは有名な例なのですが、
「あなたは今までに何人の異性と付き合ったことがありますか?」
というアンケートを行ったところ、男性は0〜7人と広く答えが分散するのに対し、女性は『3人』という点に大きな山ができるのだそうです。
これだけ見ると一部のモテる男性の間を女性が行ったり来たりしている図を想像してしまいますよね。
でもこの答えには女性が『3人』と答えたくなるようなバイアスが掛かっていると考えられます。一般的に女性は交際人数があまり多いと宜しくないとされていて、かといって全くのゼロでは自分に魅力がないということになってしまう。
多すぎても少なすぎてもダメ。
なので3人に落ち着くのだそうです。
アンケートの結果を歪めるバイアスとは?
上の二つの例はそれぞれ文化的バイアスと社会的バイアスの例になっています。
アンケートを実施する上で色々な注意点がありますが、今回注目したい注意点は
『回答者が必ずしも質問に正直に答えるとは限らない』点です。
嘘をつくというわけではありません(中にはそういう人もいるかもしれませんが)。
社会的に望ましいことや自分の名誉に関わること、また質問の順番によっては回答者は本当のことを語ってはくれません。または質問者に対する忖度もあります。
アンケートを実施する上では、回答者が本音を語ってくれるようなアンケート構成、環境作りが必要です。集まった回答結果を分析する際にも考慮に入れるように心掛けましょう。
翻って最初の調査結果に戻ると、
日本にある身内を落として相手を立てる文化が自分の会社を悪くいう回答結果に影響していることが推察されますね。
数字をそのまま鵜呑みにしては見誤ります。
ただこのバイアスが回答にどれだけ影響を与えているのか、完全に取り除けるのかについては
確実な方法はないので、その解決法をこの記事でお教えすることはできません。ごめんなさい。