目次
アフリカで靴を売る男
ある靴メーカーA社が新規市場の開拓先としてアフリカに目をつけました。当時アフリカにはまだ競合他社も進出していなかったからです。 A社はこの大きなチャンスを手にするべく、営業マンを現地に派遣して市場調査することにしました。 ちょうどその頃、偶然にも同じことを考えていた競合のB社も同じくエース級の営業マンを現地に派遣してきました。 A社、B社の営業マンはどちらも現地に到着してすぐにある事に気付きました。アフリカの人たちの多くが裸足で生活していたのです。 二人とも同じようにこの発見をしたのですが、その後の対応が両者の明暗を分けました。
靴メーカーA社の営業マンの反応
A社の営業マンはこの状況を知って愕然としてしまいます。 そしてすぐに会社に電話してこう報告しました。 「社長、コレはダメです! アフリカには需要がありません。この土地の人たちは誰1人として靴を履いていないんです。みな靴を履くということを知らないので絶対に売れません」 A社営業マンはアフリカには市場が無いと判断したということです。靴メーカーB社の営業マンの反応
B社の営業マンもA社の営業マンと全く同じ状況に直面しました。 そして彼も同じように会社に電話しました。 『社長! 驚くべきことにここでは誰1人として靴を履いていません! いまここで靴を販売すれば飛ぶように売れるでしょう! アフリカにはとんでもないチャンスが潜んでいます!』 全く同じ状況を目にしたにもかかわらず、正反対の判断をA社とB社の営業マンはくだしました。 このあとどちらが成功したのかということはこの訓話中では大抵の場合言及されません。実際のビジネスの場では、ある便利な道具が特定の地域に広まっていない場合、文化だったり社会構造なりで何かしら理由があることも多いからです。 しかし、この物語で重要なことは、A社の営業マンは裸足の足を見て、靴を履く需要が無いと考えましたが、B社の営業マンは巨大な市場があると考えたということです。 根拠のないことでもありません。アフリカの方が携帯電話の普及は早かった!?
90年代のある時期までアフリカの携帯電話の普及率は日本より上だったそうです。すでに固定電話網のあった日本では携帯電話の普及がなかなか進まなかったのに対し、インフラのなかったアフリカでは、携帯電話が便利だということで爆発的に広まったのだとか。今でもマサイ族は町に牛を売りに行くときに、事前に携帯電話で町での牛の相場価格を調べてから行くのだそうです。