会社の経理部に代わって帳簿をつけてくれる便利な記帳代行サービス。そのホームページを見てみると、「当方税理士在籍!!」や「提携税理士あり!!」といった宣伝文句がよく見られますよね。
しかしなぜ記帳代行業者は、税理士がいることをことさらに強調するのでしょうか?
今回の記事はそのちょっとした疑問に答えていきたいと思います。
記帳代行業には特別な資格が必要なのか
業者の方々が
「税理士」を強調するということは、ひょっとして
「調理師」免許と飲食業のように、記帳代行業を営む上で、責任者としての
「税理士」資格が必要なのでしょうか?
しかし、調べた結果、そのような事実はありませんでした。記帳代行業を開業するときも運営している間も特に何か必要な資格があるわけではなかったのです。
すると、
いったい、
なぜ…
キッカケは平成26年!!
さらに調べた結果、昭和の昔から帳簿記帳の代行は、古くからの税理士業務の一環だったことが分かりました。現在のように記帳代行業者が増えてきたきっかけはもう少し先、平成26年1月の税法改正だと言われています。この改正によって年間所得が300万円以下の白色申告者であっても全ての方に、記帳および帳簿書類の保存が義務化されました。これまで帳簿をつけなくてもよかった個人事業主の方などにも帳簿をつける必要が出てきたわけです。ここで一気に帳簿記帳を代行してほしい需要が増したのです。
合わせて会計ソフトの進化も新規参入業者の背中を押しました。ある程度の税法とパソコンの知識があれば、税理士ほどの専門知識がなくとも質の高い帳簿をつけられるようになったのです。
そして帳簿記帳に特化した業者は他の税理士業務も合わせて行わなければならない税理士よりも安価に素早い帳簿記帳を可能としたというわけです。
税理士だけが持つ強み
しかしながら
「税理士」とは国家資格です。難解な資格試験を突破し、税法に通暁した専門家にしかできない業務があります。それが、
「決算申告」
です。
「決算申告」は税を納める当人か税理士資格保持者しか行えません。
そうです。
分かりました。
記帳代行業者のホームページになぜ、税理士がいるかどうかの宣伝文句が書かれているかというと、この「決算申告」を提携税理士にお願いできますよ、というメッセージだったわけですね。
同じ記帳代行を仕事とする税理士と代行業者ですが、単にお互いのパイを取り合っているわけではなく、このようにして共生という一面と、それぞれの特性を生かした棲み分けがなされていることが分かりました。
我々お客は両者の特性を理解し、
『税理士に依頼すると決算報告までできて便利、しかしコストが高い』
『記帳ができればあとは社内で行うからコスト削減できる記帳代行業者を選ぶ』
など目的を明確にして依頼先を検討し、より良いサービスを享受できるように努めていきたいものですね。
最後に
いかがでしたでしょうか?
この記事が、記帳代行業者と税理士の違いについての理解につながれば幸いです。