国税関係の書類をスキャンして電子化する際、その効力を保つために「電子帳簿保存法」の確認は必須です。
電子帳簿保存法は制限が緩められており、以前より利用できる環境が整ってきています。ただし注意点を押さえておかないと法律違反になる恐れもあるので注意してください。
今回は電子帳簿保存法の注意点を知りたい方向けに、ポイントを分かりやすく解説していきます。
対象外の書類もあり!電子帳簿保存法の注意点
電子帳簿保存法を利用する際に、注意しておきたいのは次の点です。
スキャンでは対象外の書類がある
電子帳簿保存法ではすべての国税関係の書類が対象になっているわけではありません。
たとえば
- 総勘定元帳などの帳簿
- 株主資本等変動計算書などの決算書類
- 請求書などの証憑書類
はいずれも電子化保存が可能です。
ただし会計システムなどで直接書類を作成している必要があります。
もしスキャンして書類を電子化する場合は、
などは電子帳簿保存法の対象外となってしまいます。
スキャンして書類を電子化する場合は対象外の書類が多くなってしまう点は頭に入れておきましょう。
解像度が一定要件をクリアしていないと適用されない
電子帳簿保存法においてスキャンして電子化した書類に効力を認めてもらうには、解像度が一定要件をクリアしている必要があります。
- ハンドスキャナや複合機:25.4mm当たり200ドット以上かつ256階調以上
- スマートフォン:388万画素以上
とデバイスによって基準が異なるので注意してください。
極端に古くない機器であれば解像度要件はクリアしていますが、いちおう取扱説明書などで解像度スペックについて確認を取っておきましょう。また手順によっては画素が劣化して要件をクリアできない危険もあるので、保存時の確認も忘れないでください。
事前に税務署に申請を行う必要がある
電子帳簿保存法の適用を受けるためには、事前に税務署へ届出を行う必要があります。届出なしで電子化を行っても合法と認められないので申請は必ず行いましょう。
- 電子帳簿保存法に準拠した社内書類の活用・管理ルールを決める
- スキャン保存を行う機器を導入する
- 社内規定やスキャン保存するシステムなどに関する書類を用意する
- 2と「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を提出する
承認申請書の提出は、電子データ保存を実際に適用する3か月前に行う必要があります。余裕をもって準備を行い電子帳簿保存法を活用していくのが重要です。
最終的にはスキャンに頼らないペーパーレス化を目指す必要がある
スキャンして書類を電子化しても電子帳簿保存法は適用されますが、適用範囲が広くスキャンの手間が掛かるのがデメリットです。
将来的に「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を進めるためにも、紙の書類に頼らずシステムで最初から書類を電子管理する仕組みを整えていく必要があります。まずは既存の紙書類をスキャンして活用できるようにデータベース化していきましょう。
まとめ
今回は電子帳簿保存法の注意点を解説してきました。
電子帳簿保存法においてスキャンして電子化した書類を利用するためには、対象書類を確認して解像度要件を確認する必要があります。事前の届け出も必要なので適用を受けたい前年度から余裕をもって準備をしましょう。
ぜひ電子帳簿保存法の注意点を理解して上手く活用できるようにしていってください。