外国の映画などを見ていると、ときどき日本のサラリーマンが「ドーモドーモ」と頭を下げながら名刺を交換するシーンを見ることがありませんか?。
大体が、自国にはない奇妙な風習を持った、遠い国の変わった人たちとして描かれていますよね。私たちがビジネスマナーとして教わってきた名刺交換の作法というものは、どうやら日本独自のローカルルールであるようなのです。
目次
名刺はもともと中国の風習だった!?名刺マナーでレベルがばれる! ビジネスマナーと名刺活用方法
名刺の歴史を遡ると7世紀ごろの中国大陸の大国『唐』に辿り着きます。名刺は一説によると、当時の唐朝で一般的に使われていた『刺』という道具が起源であるそうです。『刺』とは木や竹を削った札に人の名前を刻み込んだモノで、訪問先が不在なときに戸口に刺しこんで自分が来たことを伝えていたそうです。現代で言うと不在者連絡票のようなものでしょうか。
現代のように使われるようになったのは明治時代
しかし遣唐使が持ち帰ったであろう『刺』は日本ではなかなか広まなかったようです。日本は島国なので都市であっても大体が顔見知り、『刺』を使わなくても不在時の来訪が伝わっていたんですね。
『名刺』としてその文化が受け入れられたのはそのずっと先の19世紀、明治時代のことでした。文明開化に浮かれた日本政府の要人が、夜な夜な鹿鳴館で欧米風の華やかな社交パーティーを開いていたこの時期に、現代の私たちの知る名刺交換の作法が出来上がったのです。お互いに名前を知らない人たちが集まり、繋がろうとする過程で名刺交換文化が醸成されたんですね。
ビジネスマナーとしての名刺交換
名刺は目下の者から先に渡す。
その際「〇〇と申します。よろしくお願いします」などと言いながら相手の受けとりやすい位置に両手で名刺を差し出す。
このとき名刺はできれば名刺入れの上に乗せ、相手から見やすい向きに合わせます。同時に名刺を差し出された場合は謙譲の意思を示すために乾杯よろしく相手の名刺より下の位置を取りましょう。
このマナーが、この記事冒頭の映画に戻って「ドーモドーモ」とお互いに名刺を出しながら頭を直角に近くなるまで下げていく奇妙なワンシーンに繋がるわけですけれども、その背景にあるのは相手に対する敬意です。
名刺交換のマナーを通じて、我々はお互いの企業文化にどれだけコミットしているか、どれだけ相手の立場に立って忖度出来る人間であるかを見極め合っているわけです。
名刺交換とは穏便にお互いの力関係を決めるための作法であり、ビジネススキルを問われる一種の戦いなのです。
名刺交換、その新たな活用法
そんな歴史と意義ある名刺交換なのですが、最近新しい名刺の活用法が来ています。
これまで名刺は、交換した後は各人の名刺入れの中に眠り、ときおり省みられるだけでした。その名刺自体を掘り起こし、記載された情報をデータとして整理して社内共有の財産として活用しようという流れです。
名刺情報を会社名、役職、名前などに沿ってソートし社内で公開することで、たとえ自分が初めていく取引先であっても、社内の誰かが名刺を頂いてきた企業であれば、役職付きの方の名前を確認してから飛び込んでいけるわけです。
また、データをクラウド上に上げてしまえば、外回りの営業中に急に相手先企業が変わってしまっても、冷静にスマートフォンから参照して準備することができます。
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