通常パソコンといった長期間使う高価なものは、減価償却を行い複数年に渡って価値を消費していくように記帳しないといけません。しかし中小企業で条件に当てはまる場合は、「少額減価償却資産の特例」という決まりを使って1年で損金扱いにできます。
少額減価償却資産の特例は、たとえば「事業を始めて1年目で節税をしたい」といった方へおすすめのルールです。利用の際は注意点もあるので覚えておきましょう。
今回は少額減価償却資産の特例についてご紹介していきます。
目次
30万円未満の資産を300万円まで損金扱いにできる!少額減価償却資産の特例とは
少額減価償却資産の特例とは、
- 青色申告書を提出していること
- 従業員の数が常時使用換算で500人以下
- 連結法人ではない
- 適用除外事業者に該当しない
といった条件に該当する中小企業のみ利用が認められる制度です。
通常減価償却資産は4年といったように、法律であらかじめ決められた年数に分けて価値を消費していきます。しかし特例を使うことで、まとめて減価償却資産を計上して経費とできるのが特徴です。
他にも少額減価償却資産の特例には次のような特徴があります。
取得価額が30万未満の減価償却資産が対象
少額減価償却資産の特例では、取得価額が30万円未満の減価償却資産はすべて一括損金算入可能です。たとえば「25万円で購入したパソコン」といった減価償却資産も一括損金にできます。
合計300万円まで1年分の経費にできる
少額減価償却資産の特例では、合計300万円まで1年分の経費にできます。
たとえば「合計280万円分の減価償却資産を、今年の確定申告で一括損金にする」といったことが可能です。事業を始めたばかりの場合は減価償却資産が多いはずなので、確定申告初年度の節税効果が高くなるでしょう。
個人事業主も利用可能
少額減価償却資産の特例の対象は、中小企業だけではありません。法人扱いではない個人事業主も利用可能です。
個人事業主として働いている場合は、上手く少額減価償却資産の特例を使って節税に努めてみてください。
延長されるか不明!少額減価償却資産の特例の注意点
少額減価償却資産の特例には、次のような注意点もあります。
- 2年ごとに延長されているが、いつ制度が終了するか分からない
- 節税効果には限度がある
少額減価償却資産の特例は、制度が終了する前に2年延長を行う、といったスタンスで運用されています。令和2年には「令和2年4月1日から令和4年3月31日まで」に取得した資産ならば特例の対象になるよう延長されました。
しかしこの先延長して利用できるかは不透明です。中小企業としては制度の延長について情報をこまめにチェックしておくとよいでしょう。
また30万円未満の資産を300万円までという限度があるので、事業が成長すると節税効果が薄くなる可能性についても気を付ける必要があります。特例だけに頼らず、他のコツも活用して節税に努めるのが賢い方法です。
まとめ
今回は少額減価償却資産の特例についてご紹介してきました。
記帳代行を依頼する際も、少額減価償却資産の特例は役に立つはずです。記帳代行を依頼する際は「この部分は少額減価償却資産の特例を使う」といった情報共有をすれば、分かりやすいように記帳代行業者が記帳してくれるかもしれません。
ただし少額減価償却資産の特例を使うだけが節税ではないので、いろいろな制度を活用して節税方法を工夫してみましょう。